2019年10月30日

『戦争獣戦争』



山田正紀さんから頂きました。(出版社から『謹呈 著者』と記された栞が挟まれて送られて来たのですが、本当なのだろうか? 私は今もまだちょっと信じられない気分です)
オビの文面を眺めるだけでわくわくします。
これは絶対、私の好きなタイプの物語だ。

裏表紙のオビより一部抜粋します。

 “文明や社会が破壊される際に増大するエントロピーを喰らう〈戦争獣〉、生態系ならぬ〈死態系〉に属し永遠の闘争に身を投じる異人たち、彼らの特殊な能力の源である〈刺青獣〉……”

私は〈死態系〉という言葉にしびれました。どうやったらこんな概念を考えつくんだろう。楽しみに拝読させて頂きます。

posted by 沢村浩輔 at 02:06| お知らせ

2019年10月14日

第29回鮎川哲也賞受賞作


今年の鮎川哲也賞の受賞作を頂きました。


受賞、おめでとうございます。

posted by 沢村浩輔 at 22:36| お知らせ

2019年10月01日

迷路

また夢の話です。

夢の始まりはいつも曖昧で、気がつくとそこにいる、という風に始まることが多い。
そのときも、いつのまにか私は夢の中にいた。
眼下に巨大な迷路が広がっている。かなり複雑な迷路だ。
私は空中に浮かんで、その迷路を見下ろしている。
そこに至った経緯はまったく不明だ。
それで? 俺にどうしろっていうんだ? と思いながら、私はしばらくその場に漂っていた。
ほどなく、その状況に飽きた。飽きると何か進展があるのが、私の夢のいつものパターンだ。
案の定、私は迷路の中を進む(というより、迷っている?)一人の男を見つけた。
さっき迷路を見下ろしたときには誰もいなかったはずだが、まあいい。
私は、何となく男を目で追った。
斜め後ろ上から見下ろしているので、顔は見えない。
目が覚めて時間が経った今では、どんな男だったか、ほとんど憶えていない。記憶をさらってみると、どこといって特徴のない後ろ姿で、長袖のシャツをジャケット代わりにして、淡いカーキ色のチノパンを穿いていたような気がする。
もしかすると、あの男は私なのかもしれない。
そう思った途端、男を応援しなければならない気がしてきた。
迷路はかなりの大きさである。一辺が100メートルくらいだろうか。壁の高さは3メートルほどで、ジャンプしても壁の上端に手が届かないようになっている。通路の幅は水平に伸ばした指先が、両側の壁に届く程度だ。
誰がこんなものを作ったのだろう?
男はどうして迷路の中を彷徨う羽目になったのだろう?
いくら夢の中とはいえ、まったく理不尽な話である。
しかし男は焦ったり怒りを露わにすることもなく、冷静に、粘り強く、通路を進んでいく。
行きつ戻りつしながらも、男は予想外の健闘を見せて、着実に出口へと近づいていった。
「うむ。さすがは俺だ。やるときはやる」
何もせず空中に漂うだけの私が自画自賛(?)した瞬間、迷路に変化が起こった。
突然、迷路の中に三体の騎士が出現したのだ。騎士はそれぞれ黒、銀、黄金の甲冑に身を包み、抜き身の剣を手に、通路を徘徊し始めた。
「ちょっと待て! あんなの、今までいなかったじゃないか!」
私の夢はいつもこうだ。私がうまく危機を脱しそうになると、夢の創造主がいきなりルールを変更するのだ。
新しいルールは必ずこちらが不利になる内容で、必死に獲得したささやかな優位はあっさりと反故になってしまう。
騎士たちはランダムに動き回っているようでいて、確実に男を包囲しつつあった。よく見ると、騎士の剣には血しぶきが点々と付着していた。遭遇した者をばっさりと斬る役目なのだろう。
「不公平だ! 男にも武器を与えるべきじゃないのか!」と私は叫んだが、夢の創造主は無視である。陰険きわまりないとはこのことだ。武器を持った三体の騎士と、防具ひとつ持たない男が戦えば嬲り殺しになるのは確実だ。しかも、あの男はおそらく私自身だ。
仕方がない。私は自分が死ぬところなど見たくない。
私は手の中の小さな機器のボタンを押した。夢の創造主の力が及ばない唯一の品物である〈夢の強制終了ボタン〉だ。

ボタンを押した瞬間、夢の世界は終了し、私はベッドの上で目を覚ます。
巨大な迷路も、迷路の中を彷徨っていた私らしき男も、禍々しい三体の騎士も、すべて雲散霧消する。寝起きの頭に残っているのは、どこか苦い夢の断片だけだ。
そして私は心の中でため息をつく。またつまらぬ夢を見てしまった、と。

posted by 沢村浩輔 at 00:32| 備忘録とかメモ