2020年01月16日
未来の百科事典はこんな風になるかも。
その昔、どこの家庭にも百科事典が飾られている時代があった(というのは言い過ぎか)。
私の家にも10冊セット(だったかな?)の百科事典があり、飽きもせず読み返した記憶があります。
人並みの好奇心を持った子供にとっては、実に面白い時間つぶしでした。思うに百科事典は、勉強や教養を得るために読むものではなく、湧き上がる好奇心を満たすために興味の赴くまま拾い読みするものかもしれません。
現在ではすたれてしまった百科事典を再び蘇らせるとしたら、〈VR地球儀〉がいいのではないか、と思ったので書いてみます。
VR地球儀――バーチャル・リアリティの技術で表示される地球儀。
VR機能がついたサングラスをかけてシステムを起動させると、仮想の地球儀が眼前に浮かび上がる。
映像はとてつもなくリアル。それも当然で、本物の地球の映像を映し出しているからだ。
地球上空に点在する衛星から送られてくる映像を合成してつくられている。合成して配信するのに60秒かかるなら、VR地球儀は一分前の地球の姿ということになる。
これを書いている現在、オーストラリアで大規模な森林火災が発生している。VR地球儀のオーストラリア大陸を拡大すれば、火災の状況を一目で確認できる。
天気予報替わりに利用するならフィリピン沖で熱帯低気圧が発生して、それが台風に成長し、日本に接近する様子をほぼリアルタイムで知ることができる。
気温や降水確率、花粉や黄砂の飛散状況もチェックできる。
あくまでもメインは百科事典としての機能で、たとえばイースター島について知りたいとき、「イースター島」と呟くと、地球儀がくるりと回って(標準では日本が正面になっている)、南太平洋の島が点滅して位置を教えてくれる。さらに詳しく知りたいときは、「日本との時差は?」とか「どんな歴史なの?」とか「モアイ像って何体ぐらいあるの?」などと訊けば、求める情報が表示される。
……と書いてみたが、おかしいな、あまりワクワクしないのは何故だろう?
ネットでも同じことができるからだろうか。違いがあるとすれば、表示されるのは精査された情報なので真偽の心配をする必要が無い、という点だが、それだけではいまひとつ惹かれない。
やはり実用性だけでなく、VRならではの遊びの要素が欲しい。
たとえば、シミュレーション機能。
環境問題に興味がある人なら、「海面を10メートル上げて」と指示すれば、海岸線が変化して、「ああ、こうなるのか」と実感できるだろう。
飛行機マニアなら、現在航行中のすべての飛行機を地球儀の上に表示させ、眺めて楽しむ。
歴史が好きな人は、メニューを開いて、〈地球儀の拡大と縮小〉を〈時間の巻き戻しと早送り〉に変更すれば、指の動きだけで地球儀の画像を過去に遡らせることが可能になる。
時代を遡るにつれて国境線が変化し、国の名前が生まれたり消えたりする。もちろん、好きなところで時間を止めて、地球儀に表示されているあらゆる情報を調べることができる。
時間変化のスケールを大きくすれば、五大陸が動き出してローラシア大陸になり、また離合集散してゴンドアナ大陸になる過程も観察できる。ときどき地球儀が真っ白になるが、バグではなく、全球凍結しただけなのでご安心を。
VR表示用のサングラスとスマホがあれば、現在から地球が誕生した46億年前までの情報を持ち歩くことが可能になる。
VR地球儀こそ、地球の歴史が凝縮された究極の百科事典だと思う。
後は誰かが作ってくれるのを待つだけだ。
posted by 沢村浩輔 at 13:00| 備忘録とかメモ
2020年01月06日
今年もよろしくお願いします。
あけましておめでとうございます。
年が明けて最初の投稿なので、抱負というか、雑感を少し。
出版の世界がますます厳しさを増す中で、自分はどうしたものか。
正直に言えば良い案などないのですが、ふたつの方向で進めていこうと考えています。
まずはオーソドックスなミステリーを書いて、引き受け先を探すことがひとつ。
それと平行して、これまでと同系統の小説も書いていきます。今はシャーロック・ホームズが色々な時代にタイムスリップしつつロンドンへの帰還を目指す、という連作短編の企画を編集者に送っていて返事待ちです。ただし正統派のパスティーシュではないので、あまり売れそうになく、紙の本で出すのは難しいかもしれません。そのときは自分で電子書籍にまとめて発表すればいい、と割り切りました。
商業ベースにのる可能性がある小説は出版社に営業し、それ以外の小説は自力でかたちにする、という両面作戦でしばらくやってみます。
posted by 沢村浩輔 at 13:30| 備忘録とかメモ