2021年09月13日

エレベーター雑感


たとえば昭和の時代に建てられたと覚しき、古風な雑居ビルのエレベーターに乗り込んだとしよう。
階数ボタンを押し、扉が閉まる。しかし体感で五秒くらい何も起こらず、あれ? と不安になった頃に、ようやくかすかな上昇感覚が伝わってくる、というような経験をしたことはないだろうか。
普通に考えれば、昇降速度がとてもゆったりとしたエレベーターなんだな、という結論になる。
だが、何らかの理由で、このエレベーターの中だけ時間の流れが遅くなった、という可能性もゼロではないのである。
相対性理論によると、物質の速度が光速に近づくと時間の進み方が遅くなるという。
しかし人間の知覚では、物質の速度があまりに遅い場合にも、時間の進み方に遅延が生じるのだ。
時間がゆっくりと流れる不思議なエレベーターは、あなたの町にもきっと存在する。

posted by 沢村浩輔 at 21:32| 備忘録とかメモ