2021年10月20日

人体の不思議


言うまでもなく人の体は不思議の塊だ。
人体に関して、えっ、そうなの? と驚かされる話は多い。
たとえば、一人の人間の血管をつなげると約十万kmに達し、地球を二周半する長さになるという。
もちろん事実なのだろうが、あまりに現実味がない数字である。
私の体内を巡っている血管の総延長が十万kmだなんて、どうかしているとしか思えない。
もし、この事実を知らずにクイズとして出題されたら、
「うーん、東京ー新横浜くらいかなあ?」
と答えてしまいそうだ。
言っておくが私としては、東京ー新横浜でもけっこう攻めたつもりである。
そして正解を聞いて、
「地球二周半? いやいや、それはないわ」
などと反論してしまいそうな嫌な予感がする。
そもそも人の血液量は四リットル前後だ。
いくら細いとはいえ、長さ十万kmにも及ぶチューブに封入されている液体がわずか4000ccと言われてもピンとこない。余裕で数十トンくらいありそうじゃないか。
加えて十万kmのチューブを満たす液体を、握りこぶし程の心臓ひとつで循環させているのも、とても人間業とは思えない。
とまあ色々と信じ難いが、一歩譲って、そのことは認めよう。
それならば、と私は思う。
現在、地球の人口は77億人だ。
この全員の血管をつなげたら、いったいどれほどの長さになるのか。
俄然、気になるところである。
7,700,000,000×100,000。
完全に私の暗算能力を越えた計算のため、電卓を取り出す。が、電卓の桁表示能力をも超えていた。仕方がないので、メモ用紙とボールペンを使い、この難しい計算に取り組む。
さて、答えが出た。
770兆キロメートル……。
調べると太陽系の直径は約30兆kmらしい。
すると太陽系を25個並べたよりもまだ長いのだ。
すごいな、人類。
感心しながら私は部屋の明かりを消し、ベッドに潜り込み、五分と経たずに眠りに落ちた。

posted by 沢村浩輔 at 21:43| 備忘録とかメモ