2021年12月05日

『雨』


 遙かな高みに浮かぶ雨雲から、無数の水の粒が地表に向けて落下を始める。
 このとき、大気の中を落ちていく雨粒の群れは、誰がいちばん最初に地面に到達できるかを競い合う。
 当然ながら、なんだか雲行きが怪しくなってきたな、と空を見上げた僕の顔にぽつりと当たった水滴は、それが先頭を切って落ちてきた雨粒であっても失格となる。
 あくまでもゴールは地球の表面なのだ。

posted by 沢村浩輔 at 01:06| Web小説