2022年03月10日

本と吸血鬼は日光を嫌う


去年、思い立って自作の本棚を作った。パソコンで図面を作成し、それを木材店に渡してカットしてもらった。
普段はDIYをしないので(本棚を作るために初めて電動ドリルと電動サンダーを買った)、予想以上に時間がかかったが、何とか完成に漕ぎつけた。
実は去年の十二月に完成していたのだが、本棚を入れ替えるのは実に面倒なので、実施を先延ばしにしていた。
その本棚を先日、自室に運び込んだ。
いうまでもなく、本棚の仕上がりは市販品には遠く及ばない。サンダーをかけながらペンキを三度重ね塗りしたが、出来映えはご愛敬だ。
が、設置してみると、天井と本棚の天板の隙間はわずか3mm。計算通りぴたりと収まったので自画自賛の嵐である。「俺って実はDIYの才能があるのかも」と半ば本気で考えている。たぶん次に何か作ったときに、魔法が解けるだろう。

当然ながら、新旧を入れ替えるにあたって、本棚に収めていた本をすべて取り出さねばならない。
その結果、薄々気づきながら目を逸らしてきた不都合な事実と向き合うことになった。
背表紙が色褪せた本が多い、という事実にだ。
すべては私の不徳の致すところであるが、反省を込めて書き残しておく。
蔵書の中でいちばん退色がひどいのはクレイグ・ライスの『スイート・ホーム殺人事件』だった。背表紙の赤色が淡いピンクと化し、白色のタイトルと溶け合ってほぼ判読不能になっている。だが黒色の「HM ラ 2 1」の部分はくっきりと残っている。黒は紫外線に強いことが実証されたわけだ。
高校時代にパステルカラーが綺麗だからという理由で選んだクイーンの国名シリーズも、いつの間にかずいぶん白っぽくなってしまった。引っ越しのたびに大事に持っていったのだが、それが徒になったようだ。日当たりの良い部屋ばかり選んだのがまずかったか……。
大好きなロス・トーマスの『五百万ドルの迷宮』も、帯を外してぎょっとなった。元々はこんなに鮮やかな朱色だったのだ……。
一方、国名シリーズと同じく十代の頃に買ったはずのヴァン・ダインは、白地に黒字の背表紙なので退色しようがなくて無事である。白と黒は長期間の紫外線をものともしないようだ。
だから横溝正史の黒い背表紙は何十年経った今も変わらない。きっと私が死ぬときも黒々としていることだろう。

考えてみれば、上記の本の多くは三十年近く昔に買ったものだ。それを思えば十分に保ったといえる。
問題は私の蔵書の保管の仕方だ。仮にも小説書きなのだから、もうちょっと本の管理に気を遣えよ、のひとことに尽きる。
言い訳は何もない。
私の本たちよ、済まぬ。
それでも、窓から差し込む日射しはいいものだ、と思っている。

posted by 沢村浩輔 at 01:23| 備忘録とかメモ