人類の祖先はアフリカ大陸で誕生したといわれている。
そして長い時間をかけて、世界中に散らばっていったのだ、と。
彼らがアフリカを出た理由は様々だろう。
ライオンや狼がうろついていて、いつ食べられるかと気の休まる暇がない。
気候変動で、食べるものが、あるいは水が無くなってしまった。
病気が蔓延して、この場所に留まっていたら生命の危険がある。
生まれ育った土地を離れるのは、そういうやむを得ない事情による場合が大半だったと思われる。
しかし故郷の地を離れた一群の中には、冒険心に突き動かされた者も混ざっていたのではないか。
ここにいれば平穏に暮らせるのに、地平線の彼方を目指して歩き出したのだ。
彼らは前人未踏の荒野を進み、その多くは飢えたり、怪我をしたり、病気になったり、肉食獣に襲われたりして命を落とす。そして幾多の災難をくぐり抜けた幸運な者だけが、比較的安全で水と食べ物がある土地を見つけ、ようやく過酷な旅が終わる。
だが、そこでの暮らしにも満足できず、ふたたび先を目指す者が出現する。
そうやって長い年月をかけ、ユーラシア大陸を東へ、東へと進み、地球をほぼ半周した末に、日本の地にたどり着いた。
その末裔の一人が私である。
私の先祖を延々たどっていけば、恐れを知らぬ冒険者が何人も見つかるだろう。
彼らのDNAは多少は私にも受け継がれているはずだ。
人生を覆すような冒険をするつもりはなくても、ささやかな冒険心をもう少し発揮してもいい気がする。
今年もありがとうございました。
来たる2023年が、皆様にとって良き年になりますように。
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