2019年05月30日

まだ蜃気楼を見たことがない。

先日、久しぶりに江戸川乱歩の『押絵と旅する男』を読み返しました。
冒頭の、主人公が蜃気楼について語る場面が好きで、読むといつも、昔、富山に旅行したときのことを思い出します。
富山に行ったのは蜃気楼シーズンの春だったので、内心期待したのですが、残念ながら見ることはできませんでした。
実は見えなかったのも当然で、蜃気楼のスポットは魚津なのに、私は何を勘違いしたのか氷見海岸に立って海を眺め、「見えないなあ。曇りだからかな?」などと首をかしげていました。
蜃気楼は対岸の景色が拡大したり反転して海上に浮かび上がる現象です。氷見海岸の彼方に対岸はありません。いくら眺めても蜃気楼が現れるはずがなかったのです。
まだ間違いに気づいていなかった私は、カメラを海に向けて何度もシャッターを押しました。後で写真を見返すと蜃気楼が写っていたら面白いのに、などと考えながら。
(もちろん、そんな不思議なことは起こりませんでした。生まれてから今まで、一度も不思議な体験をしたことはないんです)
聞いた話では、まれに、蜃気楼の中に人の姿が見えることがあるとか。
それはぜひ見てみたいな、と想像が膨らみます。
蜃気楼の中に、私の知っている人がいたら、不思議だろうなあ。
でも、その人がずっと前に亡くなった人だったら、ちょっと怖いだろうなあ。
もしも、蜃気楼の中の死んだはずの知人が、ふと視線を感じたように、こちらを振り向いたら?
そして目が合った瞬間、手を上げて、おいでおいでをしたら……。
その夜は部屋の明かりを点けたまま眠るかもしれない。
いつか蜃気楼を見てみたい。今度はちゃんと魚津に行って。

posted by 沢村浩輔 at 12:30| 備忘録とかメモ

2019年04月24日

近況報告


1.まずは次に出る本の話を。
原稿を編集者に渡し、ようやくタイトルも決まりました。
やっとここまで来たか、という気分です。あまりに間が空きすぎて、とっくに読者から忘れられているのではないかと心配ですが、そこは楽観的に考えることにして……。
(しかし、もう少し生産性を上げねば、洒落にならんな)
これまでも前作と違う試みの小説を書いてきましたが、今回も新しいことに挑戦しています。
発売日が決まったら、このブログでもお知らせします。どうぞお楽しみに。


2.先週、湖北(琵琶湖の北側)の桜を見てきました。
その何日か前に満開の報を聞いていたので、うーん、どうかな、でもギリギリ間に合うかも、とかすかな期待を胸に行ってみました。
で、結果はどうだったかというと――。



ビバ! 葉桜。

……ま、味わいがあっていいじゃないですか。でも来年はもう少し早く行こう、と心に誓いました。

posted by 沢村浩輔 at 20:00| 備忘録とかメモ

2019年03月21日

今日も花粉日和。


毎年これほど大量の杉花粉が大気に放たれるのだから、日本列島の隅々まで杉に埋め尽くされてしまってもよさそうなのに、そうならない不思議について誰か説明してほしい。

あと何千年(いや、何万年だったかな)か経てば人類は進化して花粉アレルギーを克服するだろうという話を聞いた。生まれるのが数千年早すぎた。少し本気でそう思う。

この季節だけは雨が降るとほっとする。もし清少納言が現代に生きていれば、そして彼女が花粉症だったら、『枕草子』の最初の一文は「春は雨」になったかもしれない。……ならなくて良かった。

posted by 沢村浩輔 at 01:00| 備忘録とかメモ