2019年08月21日

時間の不思議さ。


『時喰監獄』のストーリー展開上、時間が重要な役割を担います。
きっと、そうなるだろうな、と危惧していた通り、小説を書きながら、「だけど、時間って何だろう?」と、考えても詮ないことを何度も考えてしまいました。
ささいなことに気を取られて、キーをたたく手が止まるのが、私の悪いくせです。特に集中力が落ちてきた頃が要注意です。
当然、いくら考えたって答えが出るはずもなく、締め切り前の貴重な時間を浪費しただけでしたが、いつか思い返すときのために、ブログの備忘録に放り込んでおきます。
ひとさまの目に触れる文章ですが、論旨を整えて格好つけるのも何なので、まとまりのないまま、だらだらと書いてしまいます。

宇宙がビッグバンによって始まった、という説は、現在では定説となったようですが、私が子供の頃はまだ、いくつもある仮説のひとつだった記憶があります。
当時を振り返って不満に思うのは、ビッグバンという大爆発で宇宙が一瞬のうちに誕生した、という度肝を抜くような理論を、へえ、そうなんだ、と適当に納得してしまった少年時代の私の態度です。途轍もない話だぞ。もうちょっと驚けよ。驚きが多い方が人生面白いじゃないか。
そのビッグバン仮説によると、「時間」は宇宙の誕生と同時にできたとか。時間って「できる」ものなんだ、とちょっと茫然となります。
爆発についても同様で、一般に爆発というのは、何かが壊れる現象です。ダイナマイトでビルを解体するとか、電子レンジの中にゆで卵を入れてチンするとか、大抵の場合、爆発は我々に破壊をもたらします。にもかかわらず、この世界は「爆発によって生まれた」というのです。いったい、どうなってるんでしょうか。
ときどき、時間とは我々の頭の中にだけ存在している概念であって、本当はそんなものは存在しないのではないか、と思うことがあります。
人間以外の動物は時間など気にしないが、実は彼らの方が正しいのではないか。未来や過去はもちろん、この瞬間の、何時何分何秒という時間さえ、想像の産物に過ぎないのではないか。
だとすると「時間」はビッグバンではなく、人間が創造したことになります。車輪や貨幣や数学をも超える、人類最大の発明なのかもしれません。

posted by 沢村浩輔 at 22:07| 備忘録とかメモ

2019年05月30日

まだ蜃気楼を見たことがない。

先日、久しぶりに江戸川乱歩の『押絵と旅する男』を読み返しました。
冒頭の、主人公が蜃気楼について語る場面が好きで、読むといつも、昔、富山に旅行したときのことを思い出します。
富山に行ったのは蜃気楼シーズンの春だったので、内心期待したのですが、残念ながら見ることはできませんでした。
実は見えなかったのも当然で、蜃気楼のスポットは魚津なのに、私は何を勘違いしたのか氷見海岸に立って海を眺め、「見えないなあ。曇りだからかな?」などと首をかしげていました。
蜃気楼は対岸の景色が拡大したり反転して海上に浮かび上がる現象です。氷見海岸の彼方に対岸はありません。いくら眺めても蜃気楼が現れるはずがなかったのです。
まだ間違いに気づいていなかった私は、カメラを海に向けて何度もシャッターを押しました。後で写真を見返すと蜃気楼が写っていたら面白いのに、などと考えながら。
(もちろん、そんな不思議なことは起こりませんでした。生まれてから今まで、一度も不思議な体験をしたことはないんです)
聞いた話では、まれに、蜃気楼の中に人の姿が見えることがあるとか。
それはぜひ見てみたいな、と想像が膨らみます。
蜃気楼の中に、私の知っている人がいたら、不思議だろうなあ。
でも、その人がずっと前に亡くなった人だったら、ちょっと怖いだろうなあ。
もしも、蜃気楼の中の死んだはずの知人が、ふと視線を感じたように、こちらを振り向いたら?
そして目が合った瞬間、手を上げて、おいでおいでをしたら……。
その夜は部屋の明かりを点けたまま眠るかもしれない。
いつか蜃気楼を見てみたい。今度はちゃんと魚津に行って。

posted by 沢村浩輔 at 12:30| 備忘録とかメモ

2019年04月24日

近況報告


1.まずは次に出る本の話を。
原稿を編集者に渡し、ようやくタイトルも決まりました。
やっとここまで来たか、という気分です。あまりに間が空きすぎて、とっくに読者から忘れられているのではないかと心配ですが、そこは楽観的に考えることにして……。
(しかし、もう少し生産性を上げねば、洒落にならんな)
これまでも前作と違う試みの小説を書いてきましたが、今回も新しいことに挑戦しています。
発売日が決まったら、このブログでもお知らせします。どうぞお楽しみに。


2.先週、湖北(琵琶湖の北側)の桜を見てきました。
その何日か前に満開の報を聞いていたので、うーん、どうかな、でもギリギリ間に合うかも、とかすかな期待を胸に行ってみました。
で、結果はどうだったかというと――。



ビバ! 葉桜。

……ま、味わいがあっていいじゃないですか。でも来年はもう少し早く行こう、と心に誓いました。

posted by 沢村浩輔 at 20:00| 備忘録とかメモ