2022年06月25日
梅雨の中休み
梅雨なのに、けっこう長めの中休みが続いている。
梅雨入りして以降の半分は雨降ってないのでは?
包丁の切れ味が落ちてきたので、久しぶりに砥石を出して包丁を研いだ。
時刻はしんと静まり返った真夜中だ。
真夜中のキッチンで、シュッ、シュッと包丁を研いでいると、子供の頃に見た「まんが日本昔ばなし」の『三枚のお札』を思い出した。
調子に乗って、「ふっ、ふっ、ふっ」と低い声で笑ってみる。
気分はすっかり昔話に出てくる〈鬼ババ〉だ。
三枚のお札を思い出した理由はもうひとつあって、キッチンの棚を整理していたときに出てきた餅である。
正月の雑煮用に買ったものだが、三が日のお雑煮の後、すっかり忘れてしまっていた。
真夜中の包丁研ぎに、お餅……。
まさに『三枚のお札』である。
包丁と鬼ババ(私?)とお餅はここにある。
しかし主人公の小僧さんと和尚さんは、ここにはない。
懐かしくなって、YouTubeで『三枚のお札』を探してみた。
新旧二種類のバージョンがあることを初めて知った。
どちらも見てみた。
予想以上に細部が違っていて、両方とも面白い。
旧バージョンでは小僧さんは自分から望んで山へ栗拾いに行き、新バージョンでは和尚さんに命じられて渋々山に行かされる。
追いかけてくる鬼に向かって御札を投げる場面も、旧バージョンでは、川になれ、火になれ、と御札に具体的な指示を出し、新バージョンは御札に鬼の足を止めてくれと頼んで投げつける。
前者の小僧さんは良くも悪くも能動的、後者の小僧さんは受け身型、とキャラクターが正反対なのも興味深い。
と、ここまで書いたところで小さく雨音が聞こえていることに気づく。
中休みは終わりのようだ。
posted by 沢村浩輔 at 01:30| 備忘録とかメモ
2022年05月31日
更地の謎
たまに通る道で、建物が取り壊されて更地になっている場所を見かけたとき、そこに何があったのかどうしても思い出せないのは何故だろう。
しかも、思い出せそうで思い出せないのではなく、まったく思い出せる気がしないのが、実に不思議である。
本当にその場所に関する記憶の一切が消えてしまったかのようだ。
この現象は、ちょっとインターネット的だと思う。
ときどき見にいっていたブログが、いつのまにか削除されてしまって、もう見ることができなくなっていたときの、あの感じに近いのである。
例えば、かつてその場所に銭湯があったとしよう。
何度もその前を通るうちに、銭湯の外観が私の脳に記憶として刻まれる。
しかし実は、その銭湯の実在と私の記憶はリンクしており、銭湯が消滅すれば、私の脳内に保存されていた銭湯の記憶も自動的に消えてしまうのではあるまいか。
そう考える以外に、よく見知っていたはずの建物の記憶が、かくも鮮やかに私の中から失われてしまう理由に説明がつかないのだ。
posted by 沢村浩輔 at 03:08| 備忘録とかメモ